WikiPathologica

このページは管理人の覚え書きページです. 正式な骨髄病理研究会のHPではありません。ご注意ください。

第13回骨髄病理研究会

倉敷市松島 川崎医科大学校舎棟7F マルチメディア教室にて. 2017年8月27日(日) 8:30-15:50

一般講演

8:30よりvirtual slideで組織スライドを検鏡.

症例検討 : 赤芽球低形成型造血障害 名古屋第一赤十字病院 伊藤雅文

症例1.4ヶ月男児 先天性赤芽球癆 Diamond-Blackfan anemia

症例 2. 50歳代女性 赤芽球癆 parvoB19ウイルス感染症

症例 3. 86歳女性 T-LGLを伴う赤芽球癆

症例検討 II: 赤芽球増殖を来す疾患群の病理診断注意点 埼玉医科大学保健医療学部 茅野秀一

症例 1. 50歳代男性 葉酸欠乏による巨赤芽球性貧血

症例 2. 50歳代男性 MDS with excess blasts (MDS-EB) 1 with fibrosis (acute erythroid leukemia WHO2008までの診断)

症例 3. 60歳代女性 B前駆細胞性リンパ芽球性白血病/リンパ腫

症例検討 III: 赤芽球にTP53が陽性になるMDS 川崎医科大学 病理学 藤原英世

症例 1. 50歳代女性 MDS with ringed sideroblast with multilineage dysplasia (MDS-RS-MLD)

症例 2. 70歳代女性 MDS with excess blasts-2 (MDS-EB-2)

特別講演

「赤血球分化と鉄代謝」

東北大学大学院医学系研究科 血液・免疫病学分野 張替秀郎

教育講演

「溶血性貧血の病態と診断」

川崎医科大学 血液内科学 和田秀穂

Diamond-Blackfan anemia

Diamond LK and Blackfan KD. in 1938: Diamond LK, Blackfan KD. Hypoplastic anemia. Am J Dis Child 1938;56:464-467

lost in translation.jpg

最近のReview: Daimond-Blackfan anemia: erythropoiesis lost in translation(Blood journal)*1 翻訳の異常で赤芽球形成が失われる---映画のlost in translationにかけた??

  • 1歳未満に発症する先天性の低形成性貧血. 蒼白のみがしばしば最初の症状となる.検診で貧血を指摘される.
     
  • Hb低値. MCVは増加(大球性貧血). 網赤血球数は減少する.
     
  • 骨髄検査では正形成性骨髄に赤芽球低形成が単独で認められる. 前赤芽球がわずかに残る症例もある.
     
  • erythrocyte adenosine deaminase (eADA)活性, HbF, 血清エリスロポイエチン値が上昇する.
     
  • 成長障害 and/or 母指, 顔面頭蓋部, 心臓, あるいは尿路系異常の存在はDBAの診断をより確実に支持する.
     
  • 統計学的に有意な研究は出ていないが, DBA患者さんはAML、骨肉腫などの非造血器腫瘍の発生頻度が高いようである.
     
  • 主要な鑑別診断は transient erythroblastopenia of childhood (一過性小児赤芽球減少症)である.
     
  • DBA診断後の最初の治療は輸血とcorticosteroidの投与である. ステロイドの効果はEpo感受性の増加、赤芽球造血を促進する遺伝子発現を促す効果があると言われている.*2*3

症例検討I-症例I 4ヶ月男児 検診で貧血を指摘された.

伊藤先生の講演から

管理人の骨髄所見とり: cellularity 80-90%(4ヶ月なのでnormo to slightly hypocellular).
幼若な赤芽球がぱらぱらと散見される。明瞭な赤芽球島形成はない. 小リンパ球か成熟赤芽球か分かり難い細胞が多い. Mgkは目立つ. 血小板凝集あり. ASD-Giemsaで成熟赤芽球は減少しているようである. 小リンパ球が多い?

  • 本例の骨髄では顆粒球系, 巨核球系は保たれ, ASD-Giemsaでは前赤芽球がわずかに残るのみで成熟赤芽球は見られず, 血島形成もないことからDABと診断できる.
     
  • DBAの骨髄所見では, 赤芽球がまったくないのか, 少しは残っている(hypo)かがひとつのポイント. さらに重要なのは赤芽球が血島をつくらないこと
     
  • 顆粒球系, 巨核球系には異常は認められない.
     
  • DBAでは, p53陽性赤芽球が増加する. これはribosomal protein 遺伝子変異によりp53の代謝がおくれ貯留するためで遺伝子変異はみられない.
     
  • 治療にはステロイドが使われる. 前赤芽球がわずかながら残っている症例ではステロイドの効果がより期待できる。
     
  • 口唇口蓋裂などcraniofacial anomalyや肢帯の異常が1/4の例に合併するといわれている. 日本の中央診断では、これほどは多くない印象.
     
  • 日本の新規登録症例は 5例/年間ほど. DBAの主な遺伝子異常と形態との関連を調べるプロジェクトがあるが今のところ特定の関連性はえられていない.
     
  • CD71; transferrin receptor, 免染で幼若赤芽球成分が判別できるが, CD71は活性化マーカであり赤芽球だけでなく活性化リンパ球やマクロファージにも発現することに注意.

    (CD71を染めるときはASD-Giemsaとの連続切片でそめて細胞形態を確認している[管理人])


*1  Flygare J and Karlsson S. Daimond-Blackfan anemia: erythropoiesis lost in translation. Blood 2017; 109(8):3152-3160
*2  Ebert BL, et al. An RNA interference model of RPS19 deficiency in Diamond-Blackfan anemia recapitulates defective hematopoiesis and rescue by dexamethasone: identification of dexamethasone-responsive genes by microarray. Blood 2005; 105:4620-4626.
*3  Ohene-Abuakwa Y, et al. Two-phase culture in Diamond Blackfan anemia: localization of erythroid defect. Blood 2005; 105:838-846.

添付ファイル: filelost in translation.jpg 333件 [詳細]

トップ   差分 バックアップ リロード   一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2020-04-02 (木) 09:19:39 (128d)