病理アトラス

参照--> Nodular lymphocyte predominant Hodgkin's lymphoma(NLPHL)

 

Lymphocyte-rich classical Hodgkin lymphoma(LRCHL)

Lymphocyte rich classical Hodgkin lymhoma(LRCHL)は、nodular lymphocyte predominant HL(NLPHL)と形態学的または臨床的に区別することはできない.

 
  • LRCHLは, 結節性の成長パターン(vague nodular growth pattern)と豊富な小リンパ球の背景を示すことがよくある。樹状細胞の微細な網目構造をもち, mantle zoneの拡張したB細胞濾胞が優勢でありNLPHLと同様の組織像を呈する. びまん性パターンはまれ.
     
  • LRCHLの2番目の形態バリアントは最初にREAL分類で暫定エンティティとして記述された. 結節性パターンのものとは対照的に、主にT細胞のphenotypeを示す小リンパ球を背景に, 古典的なRS細胞による濾胞間またはびまん性増殖パターンを示す.
    B細胞濾胞は押しのけられるか、まれに存在しない. 過去には、そのような症例は濾胞間ホジキン病interfollicular Hodgkin's diseaseと記載されていた.
     

LRCHLの腫瘍細胞は、NLPHLに見られるLP細胞の細胞学的特徴-pop corn cells-を示すことがある. ただし、LRCHLの腫瘍細胞の免疫表現型プロファイルはLP細胞のそれとは異なり,
classical HLの他のサブタイプのHRS細胞の免疫表現型の特徴を示す。症例の約50%でCD30、CD15、Fascin、EBV-LMP陽性を呈する.

NLPHLとは異なり, LRCHLの腫瘍細胞を取り巻くT細胞は一般にfollicular helper T-cellのマーカである CD57またはPD1を発現しない。(classical HLの背景反応性T細胞はCD57-, PD-1-でTfh細胞ではないことに注意.)

 
lymphocyte-richcHL01.jpg

Lymphocyte-rich classical Hodgkin lymphoma (右図 H&E染色)。

A; 退行した胚中心と多数の小リンパ球からなる漠然とした結節性パターンが認められる(x10).

B; 高倍率では反応性の小リンパ球に囲まれたHodgkin/Reed-Sternberg(HRS)細胞が見える(x40)

 

臨床事項

  • 頻度はclassical Hodgkin lymphomaの5%ほど.
  • 年齢中央値は他のcHLよりも高く, NLPHLと同じである. 男性に多い(70%は男性)
  • 複数の再発が少ないというNLPHLの特徴を除いて, ほぼNLPHLと同様の臨床像を呈する. 初発時はStageI/IIが多い.
  • 末梢リンパ節腫大で発症. しばしば頸部リンパ節を侵す. 縦隔病変はまれ(15%)
  • B症状を示すことはまれである.
     

Case-LRCHD

60歳代後半 男性

咽頭痛, 異物感が出現. 発熱, 体重減少なし.右扁桃が腫脹し潰瘍を伴っている.
CTでは, 右口蓋扁桃, 上咽頭, 舌根扁桃腫大. 左口蓋扁桃も軽度に腫大.両側頸部, 左鎖上窩, 右腋窩, 腹部大動脈から両側総腸骨領域, 左外腸骨動脈領域に腫大リンパ節が多発している. 脾臓はわずかに腫大.

Hb 15.3, RBC 491x10^4, WBC 8200, plt 27.4x10^4, CRP0.45, LDH 244(high), sIL-2R 1160.(high)

腫大した扁桃より生検.

tonsil-loupe02_tate.jpg(70.8KB) CD3-CD20.jpg(81.6KB)  HE-loupe像とCD3, CD20免疫染色--thumbnailのクリックで大きな画像が見られます.

 

CD30_ok.jpg(138.5KB) CD15_ok.jpg(132.6KB) 大型細胞にはCD30, CD15の発現を認める. CD15は単球や好中球にも陽性になる. 大型細胞が陽性かどうか確認が必要.

CD15とCD30の同時発現を呈する腫瘍性病変はclassical HLの他にはまれである. (Jaffe Hematopathology 2nd Ed)---> EBV+ Hodgkin lymphoma-like LPDにも陽性になる場合がある.(この場合大型細胞は CD20が明瞭に陽性. CD15は部分的に陽性になるようです)

パラフィン切片で検出されたCD15(LeuM1または他の抗体)は、顆粒球造血後期の抗原であり, CHL症例の75%から85%に陽性を呈する. 染色はCD30より弱く, より腫瘍細胞に限定されて陽性を示していると考えられる. (好中球や単球に陽性となることに注意)

 

largecell-HE01.jpg(132.6KB)space.jpglargecell-HE02.jpg(134.5KB)space.jpglargebizzarre-HE.jpg(126.9KB) space.jpg本例にみられた大型腫瘍細胞.

 

largecell-HE-popcorn.jpg(133.1KB)space.jpglargecell-HEeosino.jpg(153.7KB)space.jpglargecell-localized01.jpg(195.7KB) thumb nailをクリックすると大きなphotoが見られます.

  • 腫瘍細胞(大型の細胞)は特異的にB細胞濾胞構造のマントル(外縁部)に存在しLRCHLタイプのHodgkin lymphomaバリアントの特徴になる.
  • 古典的なRS細胞はLRCHL症例のほとんどに出現するが, 数は少ない. NLPHLに典型的に認められる, 核小体は不明瞭な, 屈曲し分葉した核のLP細胞がlymphocyte-rich HLにも出現するため,
    CD30とCD15が腫瘍細胞に発現することがLRCHLの診断に重要であり, NLPHLとの鑑別に必要である. NLPHLと診断された症例のうち30%がこの免疫染色結果により, LRCHLと診断変更されたとする多施設研究がある.
     
    本例では, Hodgkin細胞, 大型bizzarreな核の細胞などの大型細胞を認める. 2核, 多核細胞は認めるが少ない. popcorn cellsはほとんど見られなかった.
     

OCT2_ok.jpg(169.6KB)space.jpgBob1_ok.jpg(110.8KB) B細胞転写因子 OCT2は大型細胞に淡染している. Bob.1は陰性の細胞が多く認められた.

 

(注意) OCT2は厳密なB細胞転写因子でT-cell neoplasmには発現しないが, Bob.1はT-cell neoplasmにも発現することが知られている.*1

 
 

LRCHLの背景細胞

  • 反応性背景は濾胞マントル細胞の性質を示す IgM陽性, IgD陽性の小型B細胞より構成される.(B細胞が背景に認められる点でNLPHLとの形態診断は難しくなるわけだね.)
  • CD21/35,CD23染色などにより濾胞樹状細胞の微細で拡張した網目構造が明らかなり, 浸潤細胞の結節状構造を強調することができる.(これもNLPHLと同じですね)
  • 腫瘍細胞は、NLPHLとは対照的に, 濾胞T細胞のマーカーであるCD57およびPDCD1/PD-1(CD279)を欠くCD3陽性T細胞によって縁取られることがよくある.
    = classical HLでは背景T-cellにはCD57,PD-1陽性の濾胞胚中心T-cellは認められない.
     

CD57_ok.jpg(134.2KB)space.jpgPD1_ok.jpg(128.8KB) 本例では大型腫瘍細胞周辺にPD1+, CD57陽性T細胞がかなりの数認められ. LRCHLとしては典型的ではない.

 

Classical Hodgkin lymphomaの背景細胞

LRCHLの結節性パターンを除き, CHLの反応性背景リンパ球は主にT細胞.大多数はCD4を発現し, memory cell 分画に属し,活性化の兆候を示す。

この背景細胞の表現型とサイトカインプロファイルはTH2細胞と免疫抑制性制御性T細胞とより一致しており、CHLの炎症反応が腫瘍に対する不十分な反応であるという事実を強調している.

腫瘍性細胞を取り巻くT細胞は、共刺激分子とCD30およびCD40リガンドを発現し、RS細胞の生存に寄与する可能性がある.

Pathological Diagnosis: Lymphocyte rich classical Hodgkin lymphoma

NLPHLの特徴を示す所見もあるが, 臨床像, 腫瘍細胞の大型細胞がCD30, CD15いずれも陽性であり, Bob.1陰性のphenotypeが確認されることから LRCHLと診断した.

全身リンパ節の腫大があり, 扁桃, 咽頭への浸潤/侵襲が認められた例; HLでprimaryな扁桃発生はごくごくまれ.*2 であるため, 本例の扁桃病変は転移, 侵襲病変と考えるほうがよいと思われる.


*1  Marafioti T, et al. Expression of B-lymphocyte-associated transcription factors in human T-cell neoplasms. Am J Pathol. 2003 Mar;162(3):861-71.
*2  Qin Y, et al. Hodgkin lymphoma involving the tonsil misdiagnosed as tonsillar carcinoma: A case report and review of the literature. Medicine (Baltimore). 2018 Feb;97(7):e9761. PMID: 29443738

添付ファイル: filelymphocyte-richcHL01.jpg 22件 [詳細] filelymphocyte-richcHL.jpg 9件 [詳細] fileOCT2_ok_s.jpg 45件 [詳細] fileOCT2_ok.jpg 137件 [詳細] fileBob1_ok_s.jpg 47件 [詳細] fileBob1_ok.jpg 131件 [詳細] filePD1_ok_s.jpg 54件 [詳細] filePD1_ok.jpg 134件 [詳細] fileCD57_ok_s.jpg 56件 [詳細] fileCD57_ok.jpg 135件 [詳細] filelargecell-HE-popcorn_s.jpg 49件 [詳細] filelargecell-HE-popcorn.jpg 143件 [詳細] filelargecell-HEeosino_s.jpg 58件 [詳細] filelargecell-HEeosino.jpg 127件 [詳細] filelargecell-localized01_s.jpg 49件 [詳細] filelargecell-localized01.jpg 141件 [詳細] filespace.jpg 125件 [詳細] filelargebizzarre-HE_s.jpg 55件 [詳細] filelargebizzarre-HE.jpg 131件 [詳細] filelargecell-HE02_s.jpg 39件 [詳細] filelargecell-HE02.jpg 141件 [詳細] filelargecell-HE01_s.jpg 46件 [詳細] filelargecell-HE01.jpg 140件 [詳細] fileCD30_ok_s.jpg 64件 [詳細] fileCD30_ok.jpg 135件 [詳細] fileCD15_ok_s.jpg 59件 [詳細] fileCD15_ok.jpg 143件 [詳細] fileCD3-CD20_s.jpg 68件 [詳細] fileCD3-CD20.jpg 153件 [詳細] filetonsil-loupe02_tate_s.jpg 46件 [詳細] filetonsil-loupe02_tate.jpg 132件 [詳細]

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Last-modified: 2021-10-30 (土) 13:03:00 (39d)