Pulmonary thromboembolism

肺血管系

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肺動脈:右心室→肺門から肺に入る→気管支に沿って走行→枝分かれし細気管支, 終末細気管支, 呼吸細気管支に沿って走行し→肺胞管, 肺胞嚢の肺胞壁毛細血管を形成→肺小葉間結合組織内静脈→肺静脈→肺門から出て→左心房へ

肺動脈の分岐走行は気道の分岐走行と一致し, 換気/血流均衡という生理機能の維持を行う。

肺静脈は気道とは並行しない。肺小葉間結合組織中を走行し多くの肺ユニットから血液を受けて左心房に還流する。
肺ユニット:肺の機能単位で解剖学的肺胞よりは大きく,O2分圧とCO2分圧がそれぞれ同一となる。各ユニットは5000の肺胞と250の肺胞道から構成される。健常成人の肺ユニットは約6万

肺動静脈はともに血管壁が薄く弾力性に富む。

  • 全身血液量の約10%,500mlが肺内に分布する。
  • 肺循環は低圧系であり血管抵抗は低いが細動脈(<500μm)は平滑筋にとみ内径を能動的に変化させ血管抵抗を変化させることが可能である。
  • 平均肺動脈圧(14mmHg)は平均大動脈圧(90mmHg)の約1/7である。

肺毛細血管

  • 肺毛細血管は多数の肺胞を連続して還流する網目状構造となっている。
  • 肺毛細血管が十分な血液で満たされるときは肺胞表面の約75%が赤血球と接することになる。
  • 肺毛細血管床には健常人で安静時に70mlの血液に満たされている。閉塞や圧迫された毛細血管が開通することで肺毛細血管容積は最大200mlまで増加する。
  • 運動時に心拍出量は3倍まで増加するが肺血管系の拡張性のため肺動脈圧は上昇しない。肺血管床の血液量も2倍以上になるが血流抵抗は上昇しない。
  • 肺毛細血管血流量はどのような瞬間でも右心室からの1回心拍出量にほぼ一致する。
  • 赤血球は毛細血管にとどまる約0.8秒間に肺胞毛細血管関門を介してO2, CO2の拡散による交換平衡が十分に達成することができる

肺毛細血管, 小動静脈だけが肺胞を介して外気に接しており肺胞圧(大気圧に等しい)の影響を受け肺胞血管と呼ばれる。それ以外の血管は結合組織と直接に接合しておらず肺外血管と呼ばれ胸腔内圧の影響を受ける。胸腔内圧は肺胞圧より低い(-3.7mmHg)

肺は解剖学的に肺胞外血管や貫通血管の周囲を包むような構造で気管支は水分(肺水腫)や空気(肺気腫)によって容易に分離されるようになっている。

気管支動脈

胸部大動脈, 肋間動脈から分岐→気管・気管支に沿い→小葉間結合織内を通り→胸膜下に達する

1.小葉間結合織と気管支壁内に毛細血管を送る→小葉間に集まり気管支静脈となり→肺門→奇静脈と下大静脈に注ぐ

2.気管支に沿った枝がさらに小葉内に進入し細気管支, 終末細気管支壁に毛細血管を送る→小葉内に入った末梢血管の一部の血液は肺静脈に注ぐ

  • 気管支動脈は終末細気管支までの気道に水分・栄養を供給する
  • 気管支動脈は肺動静脈, 胸膜, 肺葉間中隔などの栄養を供給する
  • 気管支動脈は大動脈から分岐し, 大動脈圧とおなじ血圧で肺動脈圧よりも高い
  • 気管支循環血液量は心拍出量の約1%以下であるが肺組織には十分量である
  • 気管支動脈血流量の半分は気管支静脈を経て右心房に還流し残りの半量は気管支肺動脈吻合を介して肺静脈にはいり正常の静脈混合となる(右左シャント)
  • 気管支循環は吸気ガスを加温加湿する働きをして肺胞表面の水分蒸発を防ぐ。

呼吸細気管支--ガス交換

肺小葉は弾性結合組織に囲まれ各々1本の細動脈, 細静脈, リンパ管, 1本の終末気管支からの分枝が存在する。小葉間結合織内を肺静脈, 気管支動静脈, リンパ管が走っている。

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壁に軟骨をもたない細気管支は小葉内で分岐を繰り返し直径1mmより次第に細くなり終末細気管支となる。1本の細気管支より4-6本の終末細気管支がでている。 終末細気管支は, 通常2回2本の呼吸細気管支に分枝する。呼吸細気管支は数本の肺胞管に移行し, ここに2-5個の肺胞嚢が開口する。 肺胞嚢は外側にカップ状にふくらんだ小さな袋(=肺胞alveolus, 複 alveoli)が2個以上集まって構成される。肺胞は呼吸細気管支, 肺胞管, 肺胞嚢の壁に存在する。呼吸細気管支ではとび石状に、それ以外は密にならぶ。
肺には約3億個の肺胞が存在する。肺胞の表面積は皮膚表面積の30-40倍(テニスコートの半分)になり, ガス交換を行う。

細気管支上皮は最初単層円柱線毛上皮で次第に単層立方線毛上皮となる。杯細胞も減少してついに欠如する。この部分では腺毛をもつ腺毛細胞と腺毛のないクララ細胞と刷子細胞brush cellがある。
クララ細胞Clara cellは腺毛を欠き円柱状で腺毛細胞より丈が高くまるいあたまを出している。細胞質には滑面小胞体がきわめてよく発達している。肝細胞様の解毒作用やsurfactant分泌機能があると考えられている。刷子細胞の機能は不明。

肺胞壁の構造
網目状毛細血管網を肺胞上皮が覆っている。肺胞上皮にはI型肺胞上皮(扁平肺胞上皮)とII型肺胞上皮(大肺胞上皮)の2種類がある

両肺の肺胞数は約3-5億個, 個々の肺胞の径は300μm, 総面積は機能的残気量(=呼気終末時における排気量)レベルにおいて約70屬任△襦

肺胞壁には肺動脈の終末として, ガス交換に携わる毛細血管網が存在する。肺胞表面は必ず肺胞上皮に被覆されており, 毛細血管表面では上皮細胞質がきわめて薄くなっている。上皮と毛細血管内皮の間には基底膜が存在し, 血液と肺胞気を境しガス交換をする, この三層構造の隔膜を血液空気関門blood-air barrierと呼ぶ。平均1.5μmの非常に短い肺胞気と赤血球の距離は拡散によるガス交換が迅速, 効率的に行われるのに適している。

肺胞上皮細胞にはI型, 況診挧上皮の2種類が認められる。

儀診挧上皮は, 比較的小型の核と核周部をもつ。核以外の部分では細胞質がきわめて薄くなり大きく広がっていてガス交換に関与する。細胞小器官は乏しい。

況診挧上皮は, 丈の高い大型細胞で分泌細胞とも呼ばれる。光顕では細胞質は明るくみえる。細胞小器官は中等度に発達し, 核上部に特徴的な層板小体をもつ。小体はズダン染色, PAS染色陽性でリン脂質, 蛋白, 糖を含む。層板小体は開口分泌により肺胞内へ分泌され肺胞表面に広がり脂質の薄膜となって表面張力を低下させる界面活性剤(サーファクタントsurfactant)として働く。サーファクタントの働きで肺は表面張力による収縮をまぬがれ, O2が肺胞表面によくゆきわたるようになる。

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肺サーファクタントは況診挧上皮細胞とクララ細胞から分泌される。

  • サーファクタントの成分はリン脂質が約80%, その他中性脂肪, アポ蛋白, 糖からなる。
  • アポ蛋白(surfactant apoproteinあるいはsurfactant protein:SP)にはA〜Dの4種類が知られている.
    • SP-A(Gene:10q22.2-q23.1)は分子量34-37kDの蛋白またはその二量体で、サーファクタントの表面張力を低下させその活性を調節するほか、コラーゲン様の三本鎖螺旋構造を持ちレクチン作用を示すところから「コレクチン」(Collectin=Collagen+Lectinの造語)とも呼ばれ、細菌などに結合しマクロファージの食作用を強めるなど感染防御にも関係していると考えられている。 抗SP-A抗体をもちいた免疫染色では況診挧上皮の粗面小胞体, 層板小体が陽性となる。肺癌におけるII型肺胞上皮細胞、クララ細胞への分化マーカーとして利用される。

肺胞内には, しばしば肺胞マクロファージが認められる。

  • 肺胞表面にくっついて空気中から入ったほこり, 異物を胞体内に取り込みdust cellと呼ばれる。
  • 正常肺の遊離細胞の90%を占め気道由来の抗原を認識してAPC(抗原提示細胞)として働く。
  • 刺激によりIL-1の放出や炎症反応を引き起こす。(肺胞上皮細胞には貪食能はみられない。)
  • 心不全により肺うっ血が起こるとdust cellはヘモジデリンを取り込み赤褐色を呈しheart failure cellと呼ばれる。

リンク

Introduction to Practical Pathology of Chest Disease

文献

標準組織学各論 第3版 医学書院 pp184-199
バーン/レヴィ カラー基本生理学 西村書店pp255-295
Pathologic basis of disease 7th ed.


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Last-modified: 2020-05-05 (火) 10:09:29 (90d)