CHUBU1215
血液腫瘍病理学

急性巨核球性白血病 acute megakaryoblastic leukaemia (M7)

WHO 4th ed. revised の定義*1:Aute myeloid leukemia, NOSの一型であるAcute megakaryoblastic leukemia. FAB分類のAML-M7

急性白血病の一型で20%以上に増えた芽球の少なくとも半数(50%)が巨核球系であるもの。

MDS leukemiaから移行した例や, t(1;22)(p13;q13), inv(3)(q21;q26.2), t(3;3)(q21;q26.2)をもつAML例(AMKLの血液像を示す), Down症候群関連の症例は, このカテゴリ−には含まない。

  • t(1;22)(p13;q13): RBM15-MKL1
  • inv(3)(q21q26.2) or t(3;3)(q21;q26.2): RPN1 - EVI1
     
     

以下3群の患者さんに, おのおの異なったタイプのAMKLが起こりうる.

1) Down症の小児:WHO分類でDown症候群関連骨髄増殖性疾患(Myeloid proliferations associated with Down syndrome)として独立した疾患とされる.

2) Down症候群以外の小児: 乳児では大部分の症例がWHO分類のAML with t(1;22)(p13;q13); RBM15-MKL1に相当. 年長児では, t(10;11); CALM-AF10, t(9;11), +8, +21など様々な染色体, 遺伝子異常を伴った症例が見られる.

3) 成人; 特定の遺伝子異常のみられない症例(AML-NOS)が多い. AML with inv(3)(q21q26.2) or t(3;3)(q21;q26.2); RPN1-EVl1ではAMKLの細胞形態所見を示すことがある.

AMKL-NOS

  • 染色体; -5, -7, +8, 11q 関連の異常などが認められる.
     
  • Young adultにおける縦隔胚細胞腫瘍とAMKL合併例にはいくつかの染色体異常が知られている. i(12p)が特徴的である.

AML with t(1;22)(p13;q13); RBM15-MKL1

  • RBM15-MKL1fusionによりRBM15(RNA-binding motif protein-15; OTTともよばれる)とMKL1(megakaryocyte leukemia-1; MALともよばれる)の融合キメラタンパクRBM15-MKL1(OTT-MAL)が産生される.
     
  • RBM15はHoxの機能やRasシグナル伝達の調節にかかわり, MKL1はクロマチン構築に関連するDNA結合モチーフをもつ.融合遺伝子はクロマチンの構築やHoxで誘導される分化とシグナル伝達に影響を与え白血病発症に関わる可能性がある.

病理組織, 細胞所見

末梢血のsmall megakaryoblast(micromegakaryoblast); 中程度のN/C比, 細胞質のbudding(出芽), 微細な網目状クロマチンをもつ円形核をもつ。
megakaryoblastは多彩な形態のため巨核球系であることの証明に, しばしば免疫染色が必要となる。CD41, CD42b, CD61染色陽性が巨核球系の証明となる.

M7_01PB.jpg(199.6KB)  M7_02PB.jpg(180.7KB)  

 

CD41(anti-GPb)巨核芽球の幼弱な段階より検出され頻用される。CD41(=platelet fibrinogen receptor alpha subunit)は血小板凝集に必要な糖タンパク.

ただしCD41はホルマリン固定パラフィン組織にうまく適応できる市販抗体がない。組織にはCD42b, CD61を使っている。FCMではCD41が使われる.

血小板には,10種類以上の接着分子が存在する. そのうちCD41(GPb/a),CD42b(GPbα)は, 血小板だけに存在し,粘着(細胞-基質),凝集(細胞-細胞)に深く関わっている血小板膜糖蛋白である.

  • CD41(GPb/a)は血小板が刺激を受けて活性化されると,リガンド結合部位が露出しフィブリノゲンレセプターとしての機能発現が誘導される.
  • CD42b(GPbα)は内皮下組織に含まれるコラーゲンに結合して構造変化を起こしたvWFのレセプターとして結合する
     
     

巨核芽球megakaryoblast

  • 通常は中型ないし大型細胞で核は円形, ないしわずかに不整形。核クロマチンは他のAML芽球に比べてより濃縮した傾向をしめす。しばしば異型巨核球のような成熟した所見を呈することがある。1-3個の核小体をもつ。
     
  • 生検組織でも, 特徴のない芽球から異型巨核球と形態的に同定できる細胞までの移行像がみられることがある。
     
  • 細胞質は好塩基性で顆粒が見られることもある。
     
  • 細胞質辺縁はぎざぎざで細胞突起や偽足が巨核芽球の特徴になる。
     
  • ときにN/C比が高い細胞質の乏しい小型の芽球で、リンパ芽球との鑑別が困難である。
     
  • 骨髄スメアで巨核芽球が細胞塊をつくるように凝集し転移腫瘍細胞によく似ることがある。
     
  • MPO, naphtolAS-DCAE, SudanBはつねに陰性。
     
  • PAS染色, AcP(acid phosphatase)染色が陽性となることがある。
     
  • 非特異的エステラーゼが細胞質に斑点状あるいは部分的に陽性のことがある。
 

骨髄生検組織

M7_biopsyMG.jpg(211.8KB)

1. 芽球増生の著明な髄様組織をしめすmegakaryoblastic leukaemia

2. 芽球の増殖が乏しく, myelofibrosisのみがめだつ2つのタイプがある。

  • 骨髄生検組織所見は多彩な像をしめす。急性リンパ球性白血病のような像から、転移腫瘍のときに見られるような広範囲な線維化まである。一般的には小児例では細胞は一様であることが大変多い
     
  • 骨髄線維化は t(1;22)をもつ新生児 acute megakaryoblastic leukaemiaに特徴的なものではなく巨核球成分の著明などの白血病にも普通に認められる。
     
  • 線維化により(巨核芽球が産生するfactorによると推測されている)骨髄穿刺吸引は不成功のことが多く, 診断に骨髄生検が必要となる。
     
  • 年長児から成人のmegakaryoblastic leukaemiaでは多系統の異常がよく認められる
     
  • myeloblastが増殖しAuer rodを認めることあり
     
  • 顆粒球系造血が著しく異形なことがあり、同様に赤芽球系にも異形細胞の増加がよく認められる。

phenotype

陽性マーカ:

  • CD41, CD61(巨核球マーカ), CD42b*1, CD34(成熟巨核球に染まることがある), CD36, factor VIII.
  • 陽性にバラツキあり; CD13, CD33, CD71, alpha naphthyl acetate esterase, PAS and HLA-DR
  • alpha-1-antitrypsin, alpha-1-antichymotrypsin, lysozymeがまれに陽性を示す.*2

陰性マーカ:

  • Myeloperoxidase, Sudan Black B, CD14, CD64, glycophorin A
     
     

Case 01

70歳代 女性.
A病院にて, 4年前に腹部大動脈解離性大動脈瘤により人工血管置換術施行し以後経過観察中. 汎血球減少, 心不全で入院. Hb 5.7x104 WBC1370/μl, plt1.8x104. 末梢血芽球+.
骨髄穿刺はdry tapであった. 紹介され骨髄生検を行う.

ASD01.jpg(184.5KB)ASD02.jpg(174.2KB)togin01ok.jpg(208.2KB)togin02ok.jpg(260.7KB)
ASD-Giemsa x40ASD-Giemsa x40鍍銀 x40鍍銀 x40
 
 

Acute panmyelosis with myelofibrosis (APMF)

WHO 2017 4th Edの定義

急性の汎骨髄性増殖症panmyeloid proliferationで芽球が増加し(骨髄あるいは末梢血細胞の≧20%) 骨髄線維症を合併する.

● 反復する遺伝子異常を示すAML
● Acute myeloid leukaemia with myelodysplasia-related changes
● 治療関連AML
いずれにも含まれず, 上記グループのいずれのクライテリアも満たさない.

  • acute megakaryoblastic leukaemia(M7)と臨床像, 血液病理所見が部分的にOverlapする.

APMFは非常にまれなAMLの一形態で, de novoの疾患. 基本的には成人の疾患であるが, 小児の報告もある.

衰弱や疲労感で急激に発病する. 多くは, 発熱や骨痛をきたす. 通常全身状態の急激な悪化がみられる.

汎血球減少症が常に出現し, 脾腫は認められないかごく軽度である.

末梢血

  • 顕著な汎血球減少症を呈する.
  • 赤血球はanisopoikilocytosisはないか, まれ. 種々の程度のmacrocytosisが認められる. 赤芽球出現はまれに認められるが, teardrop-shaped cells(dacrocytosis)は観察されない.
  • 好中球前駆細胞, 芽球がしばしば出現する.
    顆粒球系細胞の異形成が高頻度にみられるが, AML with myelodysplasia-related changesのクライテリアには適合しない.
  • 異常な血小板がよく認められる.

骨髄所見

  • 骨髄吸引はしばしばうまくいかない(dry tap)ため, 骨髄生検と免疫染色が診断に必要である.
  • 過形成髄で, びまん性の線維性間質あり. 3系統造血細胞の増多が認められる;panmyelosisとよび, 各系統の相対的増加度はいろいろである.
  • 特徴的な所見は芽球の集簇巣が, 好酸性の細胞質をもつ小型優位な, 異形成巨核球とともに認められることである.
  • 異形成Mgkは低分葉核や 分葉しないクロマチンの疎な核をもつ細胞として確認できる. microMgkが増えるが芽球とまちがえてカウントしないことが大切である.
  • small/ microMgkの確認にはPAS染色や, 免疫染色 (CD42b, CD61, CD41他)が有用になる.
  • APMFの骨髄芽球増加の程度はさまざまである. 中央値 22.5%とする報告がある. 多くの例では20-25%.
  • 骨髄線維化の程度もさまざまであり, 鍍銀染色で黒色の繊細な弾性線維増加が見られる. 膠原線維増多は弾性線維増加にくらべ頻度が低い.

immunophenotype 免疫染色

細胞が採取可能な場合は, 芽球はCD34, C-KIT, CD33, CD13が種々の程度に陽性を示す. MPOは通常陰性になる.Naphtol-ASD-CAEも不染.


*1 WHO blue book: Tumor of haematopoietic and lymphoid tissues pp162-165
*1  Orazi A, et al. Acute panmyelosis with myelofibrosis: an entity distinct from acute megakaryoblastic leukemia. Mod Pathol. 2005 May;18(5):603-14.PMID:15578075
*2  Vago JF, et al. Acute megakaryocytic leukemia with myeloid/monocytic differentiation. Am J Surg Pathol. 1987 Nov;11(11):883-9.PMID:3674284

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Last-modified: 2020-10-17 (土) 10:49:35 (42d)