[[WikiPathologica]]

*卵胞 follicle [#udc34e63]

**卵胞の形成と排卵((標準組織学各論第3版 医学書院pp266-272, 1992)) [#q73f4968]
''卵祖細胞 oogonia''

-卵巣に迷入した原始生殖細胞は胎生期にさかんに分裂して数を増す。この増殖細胞を&color(red){卵祖細胞oogonia};と呼ぶ。卵円形の細胞で核小体の明瞭な卵形の大型核とエオジン好性の淡い細胞質をもつ。
-出生前に卵祖細胞の分裂は停止し核分裂(減数分裂)前期の状態にはいる。以後&color(red){卵母細胞oocyte};と呼ばれる。

''卵母細胞 oocyte''~

-直径40-70μm, 核小体を有する大型核には顆粒状のクロマチンが豊富で, 細胞質にはエオジン好性三日月形のBalbiani小体を認めることがある。

-卵母細胞は出生時, 核分裂前期にとどまる。その後卵胞発育,排卵になるまでの十数年から数十年は核分裂前期のままが続くことになる。~
-核分裂前期で静止状態にある原始卵胞が有糸核分裂中期に入り成熟を開始すると卵胞発育の一連の変化を来たし, 約2週間で排卵となる。
-排卵時に&color(blue){減数分裂};がおこる


''原始卵胞 primordial follicle''
#ref(primordial.jpg,around,right,20%)
-成人卵巣では&color(#0000EE){通常卵巣皮質直下};に散在している。卵母細胞(oocyte)は一層の扁平な卵胞上皮(-->顆粒膜細胞になる)から構成されている。

>SIZE(10){''原始卵胞の図はクリックで大きな画像が見られます。''} --->
#clear

''一次卵胞 primary follicle''
#ref(primaryfoll.jpg,around,right,20%)
>卵母細胞が増大し, 周囲一層の顆粒膜細胞層は扁平から立方, 円柱状へと形態変化する。
>顆粒膜細胞層の立方化に伴って核分裂が増加, FSHへの反応性が増強し卵胞発育が促進される。


''二次卵胞 secondary follicle''
#ref(2jiranpoS.jpg,around,right,20%)
>FSHの作用で顆粒膜細胞層は2-5層へと多層化する。この卵胞を二次卵胞と呼ぶ。卵胞は直径50-400μmとなって血管の豊富な卵巣髄質へ移動する。

''透明帯zona pellucida''~
二次卵胞で卵母細胞と卵胞上皮の間にエオジン好性, PAS陽性の膜が形成され&color(red){''透明帯zona pellucida''};と呼ばれる。透明帯はヒアルロン酸を主成分とする粘液多糖類の層で卵胞が成熟すると厚くなる。

>SIZE(10){''二次卵胞の図はクリックで大きな画像が見られます。''} --->
>注; 右図の二次卵胞においては顆粒膜細胞層の外方には, まだ明らかな莢膜細胞層の出現はみられていない.
#clear

''卵胞膜 theca folliculi''~
二次卵胞の初期, 周囲結合組織細胞(線維芽細胞)と膠原線維により卵胞膜(theca follicli)が形成される。
顆粒膜細胞(卵胞上皮)が多層化するころには卵胞膜は内外二層の卵胞膜が区別されるようになる
-内卵胞膜は上皮様細胞&color(blue){''(莢膜細胞 theca cell)''};から構成されて毛細血管に富む
-外卵胞膜は線維に富む
-内卵胞膜(莢膜細胞層)と顆粒膜細胞の間には&color(#228B22){明瞭な基底膜が認められる};
-内卵胞膜細胞は細胞質に中性脂肪およびコレステリン脂肪よりなる脂肪顆粒を含みSudan兄號胆色でオレンジに染まる。FSHの刺激により脂肪顆粒は著しく増加する。


卵胞の形成は以下の段階を経る~
''原始卵胞→ 一次卵胞→ 二次卵胞→ グラーフ卵胞 Graaf follicle''
>原始卵胞と一次卵胞を同じものとして扱う立場もある(標準組織学第3版, 医学書院)

''Call-exner body''
#ref(callexner.jpg,around,right,20%)
重層化した顆粒膜細胞層内に認められる小体。&color(#FF00FF){正常卵胞顆粒膜細胞層};でも&color(#FF00FF){顆粒膜細胞腫};でも同じように出現し, 顆粒膜細胞の特徴の一つである。

中心にPAS陽性,エオジン好性物質が含まれ, 透明体(Zona pellucida)前駆物質と考えられている.
#clear

''グラーフ卵胞 Graaf follicle''
-顆粒膜細胞層に小さな隙間ができ次第に融合拡張して液体の貯留した腔を形成する。この袋状になった卵胞をグラーフ卵胞と呼ぶ。
-グラーフ卵胞が成熟するにつれて卵母細胞は片隅に偏在し顆粒細胞層にとりかこまれた卵丘の形で腔内に突出する。

''排卵 ovulation''
-成熟したグラーフ卵胞は直径2cmに達する。卵胞に接する白膜が次第に透明な膜状の膨隆となり圧に抗しきれなくなって破裂すると卵胞液と一緒に卵子が放線冠をつけたまま腹腔内に飛び出して排卵がおこる。
-排卵は普通28日に一回, どちらか一方の卵巣から交互に起こる。
-排卵時には少量の出血を伴う。

**卵胞の内分泌機能 [#s0dbe07e]

卵胞からは''エストロゲン''(卵胞ホルモン), ''プロゲステロン''(黄体ホルモン), 他に若干の''男性ホルモン''が分泌される。

***エストロゲン Estrogen [#kcf76d8c]

動物に投与すると発情期をきたす物質が妊婦の尿中に発見された。(Aschheim & Zondek, 1927)
このエストロゲンと呼ばれる物質は ''エストロンestrone, エストラジオールestradiol, エストリオールestriol''などの総称である。

-すべての女性二次性徴; 生殖器系の発達, 乳房形成, 皮下脂肪沈着など, はエストロゲンが必須となる。
-女性の性機能発揮はエストロゲンのみでなく, プロゲステロンが必要となる。
-エストロゲンは&color(blue){ステロイドホルモン};に分類され&color(#FF4500){コレステロール};を原料にいったん男性ホルモンである&color(#A52A2A){アンドロゲン};が合成され, これが&color(#BF3EFF){アロマターゼ};によりエストロゲンとなる。
#ref(Ranpook.jpg,around,right)
>コレステロールからアンドロゲンを合成する複数の酵素は&color(blue){''莢膜細胞''};(内卵胞膜細胞)と''間細胞''の滑面小胞体に局在する。
>&color(#BF3EFF){''アロマターゼ''};のみは''顆粒膜細胞''の小胞体膜に存在する

コレステロールからアンドロステンジオンまでは&color(red){''莢膜細胞''};でつくられる.
コレステロールからアンドロステンジオンまでは&color(blue){''莢膜細胞''};でつくられる.

アンドロステンジオンが細胞膜と基底膜を通り&color(red){''顆粒膜細胞''};にはいると,ここで&color(#BF3EFF){''アロマターゼ''};の作用をうけてエストラジオール(エストロゲンの一つ)となる--->右図}

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